最後の世界がきみの笑顔でありますように。~last story~
「へぇ、どんな人?」
ニコニコしながら聞いてくる彼にあたしは悪戯心が芽生えた。
そっちがその気なら、やり返すまでね。
「かっこよくて、優しくて…馬鹿な人?」
「おいおい…誉め言葉が最後の一言で台無しだろ!」
あたし達はプッと吹き出して笑ってしまった。
「またせたな…幸」
幸、この世界であたしの事をその名前で呼ぶのはたった一人しかいないだろう。
「やっと会えた……陽っ!」
ーバッ!!
あたしは陽に抱きついた。
陽はあたしを抱き留めてくれる。
「あたし、北瀬 春。あなたは…?」
「俺、宮島 爽(ミヤジマ ソウ)だ。なんか、また自己紹介するのって、変な感じだな」
「そう…ね」
陽…今は爽だけど、あたし達はたしかにあの時代、世界を生きていた。あの世界では、こうしてまた笑い会えるなんて思っていなかったから……
「じゃあ、爽…。また、あたし達は恋をするのかな?」
「いや、もう恋してる。生まれる前から、ずっと春の事を愛してるし」
それもそうね………
あたしは笑って爽の頬に手を伸ばした。
「あたしも、ずっと愛してる。この世界で、幸せになろう?」
「あぁ、二人で…」
お互いに顔を近づけ、口づけを交わす。
私達はこれから、二度目の人生を歩み始める。
それは、きっと素敵な事が待っていて、幸せが溢れる世界になると確信している。
傍には、大好きな人がいて、こうやって笑いかけてくれるから………