続・迷惑なイケメンに好かれました。
そっと空気を吸い込んで、目を閉じる。
言わなきゃいけない言葉は分かってるのに、まだ頭が、心が、別の言葉を探してる。
誰にも見つからずこっそり抜け出せる逃げ道を探してるんだ。
そんなもの、あるわけがないって誰よりも自分自身が一番知ってるのにね。
「いってらっしゃい、海。でも……帰ってきてね?」
ゆっくりと目を開けたけど、彼を見る勇気がなくて制服のジャケットの校章を、ぼんやりと見つめながら言葉を絞り出した。
海を、海の気持ちを疑ってるわけじゃない。
海からの気持ちに自信がないわけじゃない。
離れるつもりなんて、あるわけがない。
それなのに口から出た言葉は震えていて、どうしようもなく泣きたくなった。