続・迷惑なイケメンに好かれました。
「莉子、遊びに来たんじゃないんだから、ベンチに座るぞ」
「今日では初めて莉子って呼んだね!」
たったそれだけのことで彼女は嬉しそうに笑みを浮かべる。
あの頃はどうやってら笑ってくれるかなんて考えてたのに、離れた今はそんな些細なことで叶ってしまう。
「私ね、海に莉子って呼ばれるのが凄く好きなんだ〜。初めて莉子って呼んでくれたのって、確かーー」
「莉子!」
明らかに話を逸らそうとする彼女に声を荒げれば、肩を揺らして、怯えるような瞳を俺に向ける。
……俺が何を話したいかなんて、分かってんだろ?
莉子だって、恐らくあの幼なじみ経由で芽依ちゃんのこと知って、会いに来たんだろう?
なら時間稼ぎなんて、やめようよ。
そんなことやったって、虚しい時間が増えるだけだよ。
今のが効いたのか、大人しくベンチへと向かってきた莉子と腰掛ける。
「……ごめんな、莉子」