続・迷惑なイケメンに好かれました。
隣に座る俺の腕を掴んで、微かに震える声で、ひたすら莉子は言葉を紡ぐ。
「莉子は、どうしてそんなに悪者になりたいの」
「……なりたいって、私は、別に……っ」
すべての出来事を、どこか捻じ曲げて受け止めて、必死に悪者の自分を作り上げる。
莉子は、何も悪くないって、どうして伝わらない?
「そう思わなきゃ、あの頃のままで時間を止められないから?」
「何言って……」
「自分は何も悪くないって気づいちゃったら、乗り越えちゃったら、あの頃のままじゃいられないから?」
本当は知ってるんでしょ?
気づきたくないだけなんだろ?
「あの頃のままじゃいられないって何?……そんなの、今からまた始めれば良いじゃん」
「莉子は、俺を好きだったのが、過去に、思い出になるのが怖い?」
二人とも、あの頃とは決定的に違う何かに、莉子だって気付いてるんだろ?