続・迷惑なイケメンに好かれました。
「……本当はっ、」
震える手を力一杯握りしめて、言葉を振り絞るように話し始めた彼女に、俺は黙って耳を傾ける。
「あんなメール送ったくせに、会いに来てくれると思ってた」
自分の弱さや無力さを痛感して、会いに来なくて良いなんて強がりに気付かないフリをした。
会いに来て欲しかったに決まってる、どう考えたって不安で心細かったはずなのに、あの時の莉子はもうどうしたら良いか分からないはずだったのに。
「でも、私がそうメールを送ったから仕方がないと思った。……あれは、海の優しさなんだって必死で言い聞かせた」
本当はただ弱くて、ずるくて、最低なだけだったのに。
そして莉子もそれに気付いてたのに、気付かないフリをしてた。
「あの後から私の人生は滅茶滅茶。……家族は崩壊したし、新しい場所でも学校に行けなくて、友達や彼氏どころか私の周りにはーー藍くん以外、誰もいなくなった」
「……っ」
「何でこんなことになっちゃったんだろうって思った。どこで間違ったのかなって何度も考えた。……そうやって行き着く先がいつも海に出会ったことだった」