続・迷惑なイケメンに好かれました。
「り、こ……?」
「私は海が好きよ。今もあの頃もそれは変わらないし、それは海にだって否定はさせない」
まるでさっきまでの彼女が嘘だったんじゃないかと思うほど淡々と言葉を並べていく。
その姿は今まで俺が見てきた莉子に、何一つ当てはまらない。
「ただね、私以外の誰かと幸せになろうなんて、許せないの。……ううん、許さない。海に過去の好きと憎しみの間で揺れてるって言われて分かったんだよ?」
何で、莉子は楽しそうなんだろう。
一体、何がそんなに楽しいんだろう。
「私は私のそばにいる海が好きなの。他の誰かの海なんて好きじゃないどころか嫌いだしね、許せないの」
「莉子……っ、」
さっきから名前を呼ぶことしか出来ない自分に腹が立つ。
これから彼女が口にしようとする台詞を何となく予測出来ているのに、それを止められる台詞が俺の頭じゃ見つけられない。
そして莉子は、それはまた楽しそうに、口を開く。
「だからね、海。私以外との偽物の幸せなんて、ぜーんぶ壊してあげる」