続・迷惑なイケメンに好かれました。
「……海はさ、私にもいつかそんな人が現れると思う?」
少しの沈黙の後、莉子はそんなことをポツリと呟いた。
その姿はさっきよりも落ち着いたように見えて、少し安心する。
「当たり前だろ。……てか、もう見つけてるんじゃないか?」
「……あはは」
そう聞けば、誰のことか一瞬で理解できたのか、真っ赤に充血させた目を細めて、少し困ったような顔で莉子は笑った。
「……藍くんの方が海なんかより、ずっと側にいてくれたし、ずっと私のこと分かってるもんね。それに、藍くんの方が顔も良いし」
「……っ、」
「かなり無愛想で冷たいけど、本当は優しいの知ってるし」
再び瞳を潤ませながら、矢継ぎ早に言葉を紡いで気丈に振る舞う姿に何も言えなくなる。
「だから平気だし、もうさ、目の前に現れたりなんかしないから。……だからさ、早くどこか行ってくれないかな」
ーー莉子、そう名前を呼ぼうとした時、それを遮るかのようなタイミングで彼女が強がりに囲まれた本音を零した。