続・迷惑なイケメンに好かれました。
「……分かった。じゃあな、莉子」
彼女に言われた通り、椅子から立ち上がる。
きっとここからはもう俺の役目じゃない。
俺は、さっきから公園の入り口に佇む人影に気付いていた。
「今まで、ありがとな」
最後に笑ってもう一度伝えてみたけど、彼女は笑うどころか顔さえ上げてくれなかった。
……仕方がない。
でも、これで良い。
俺のことは許さなくて良い。
笑ってて欲しいけど、それは俺に対してのことを言った訳じゃない。
「……カ」
「ーーえ?」
「海のバーカ!!」
背を向けて歩き出した俺に突然ぶつけられた言葉。
驚きながらも、振り返る。
バ、バカって……。
芽依ちゃんにはよく言われるけど、莉子に言われたことなんてほとんど記憶にない。
だけど振り向いた先にいた彼女は笑っていて、まあ良いかと思えた。
……どうか、この先の彼女の人生が幸せでありますように。
そう祈りながら今度こそ背を向けて、俺は学校へと向かった。