続・迷惑なイケメンに好かれました。
最近、私には悩みがある。
別に入学してからの芽依のようにストーカーがいるとか、そんな大事じゃない。
「ねえ、千春ちゃん」
「だからその呼び方やめてって言ってるでしょ?」
放課後の教室。
サラサラの黒い髪をなびかせて、どこか胡散臭い爽やかさ120%の笑顔を振りまく、この男。
最近やたら私に話しかけてくる。
「……てか、なにこの状態。離れてよ」
「ん?千春ちゃん知らないの?」
背中に感じるコンクリートの硬さと冷たさ。
私の逃げ道を塞ぐ両腕。
なんか流行ってるみたいなのは聞いたけど、実生活で本当にやってる人なんて初めて見た。
そして、私がされることになるなんて、これっぽっちも考えてみなかった。
「壁ドンでしょ?」
「なんだ知ってるじゃん」
「だからって、何で市原くんが私に壁ドンしてるわけ?」
「ーーだってこうしなきゃ千春ちゃん、逃げるでしょ?」