続・迷惑なイケメンに好かれました。




そう言うと伏せた瞳。

それを縁取る睫毛の長さに、目を奪われる。




「千春ちゃん?」

「……てかさ、袖クルとか顎クイとか出てきた今、壁ドンってちょっと古くない?」





だけど、私はそれを彼に悟られたくない。

だって、こんなの、悔しいもん。


芽依と帰ってる途中、携帯を引き出しの中に入れっぱなしだったことに気付いてダッシュで戻った。

それがまさかこんな展開を巻き起こすなんて、考えてもみなかった。


こんなことになるなら、芽依に付いてきてもらえばよかった。

……そしたら市原くんも芽依に会えるし、嬉しかったでしょ?




「ちょっと忘れ物しただけだから、もう帰る。邪魔なんだけど」

「なんかさ、最近冷たくない?」




冷たくない?なんて、分かってるくせに、白々しい。


冷たいよ、だってわざとそうしてるんだもん。

避けてるんだもん、当たり前でしょ。




「気のせいじゃない?」



だけど、そんなこと言えるわけがない。




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