続・迷惑なイケメンに好かれました。
三年生に進級して、なぜか私だけクラスが離れてしまった。
だけど、そしたら市原くんと顔をあわせることは減る……はずだったのに。
彼は今まで以上に私に絡んでくる。
そして気が付けば、呼び方も " 千春ちゃん " に変わっていた。
やめてほしい。
馴れ馴れしく接してくる度に、勘違いしそうになるの。
手を伸ばしたら届きそうだなんて錯覚しそうになるの。
ーー " 好き " だなんて、思ってしまいそうになるの。
「ふーん……」
いまいち納得してないような声が聞こえた。
ねえ、あり得ないよ。
そう、どう考えたって、市原くんを好きになるなんて、あり得ない。
この人なんて、全然好みなんかじゃないもん。
第一私、年上にしか興味ないし。
「ならさ、千春ちゃん」
「……っ、」
突然頬を温もりが包み込んだ。
いつか細くて綺麗だと思ってた指は、想像してたよりずっとゴツゴツしててーー男の人の手だ、そう思った。