続・迷惑なイケメンに好かれました。




「今の台詞、俺の目をしっかりと見ながら言ってみてよ」




余裕たっぷりの声が、全てを見抜いて嘲笑ってる気がして、胸の奥がざわついて落ち着かない。

私自身が気付いてない心の奥深いところまでバレてる気がする。


誰かに主導権を握られるのは嫌い。

あくまで私が振り回していたい。


だから、嫌なんだ。




「ねえ、千春ちゃんってば」




この人といると、私は私でいられなくなる。


気付けば振り回されてる。

嫌なの、困るの。

どうしたらいいかが、分からなくなるの。




「素直になればいいのに」




ため息混じりに呟かれた言葉。

至近距離で感じる息遣いが、惑わせる。


どこに視線を向ければいいか分からず、頼りなく彷徨うだけ。




「ーー好きなんでしょ、俺のこと」




だけど、投げかけられた一言で慌てて視線を向ける。

目があうと市原くん……いや、悪魔はにっこりと笑った。


とても楽しそうに、私の目をしっかりと見つめながら。




< 97 / 99 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop