強がりウサギの不器用な恋

「恋愛って、難しいわね。」

「…えっ……」


持ってきたケーキの箱を開けながら、有沢さんがそうポツリと呟いて。
私はその言葉に動揺して、言葉を詰まらせた。


だって、有沢さんと恋愛の話なんてしたことがないし。
ましてや私が社長のことを想っているなんて、話した記憶もないのに。


「渡辺くんみたいな男って、宮田さんは放っておけないんでしょ?」


その質問に微妙な苦笑いでコクリと頷くと、有沢さんが「私もなのよね」って笑う。



大きな夢を語るあの男は、本当に何でもやってしまいそうで。

大丈夫なんだろうか?って心配で、細かいところに世話を焼きたくなる。


ずっと、自分が一番近いところにいると思ってたんだ。

誰よりも、一番近い場所に………


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