強がりウサギの不器用な恋
こういう時社長ならば……
「はいはい」とか「わかったよ」とか、こちらに譲歩するような言葉も少しは出てくるけれど。
この男はそれすら一切出さないのだから、太刀打ち不可だ。
今はっきりとわかった。
この男のほうが……社長よりも自由奔放で手ごわいことを。
「どうした? 黙り込んで。」
「…別に。社長なら、もう少し聞き分けがいいのにと思っただけです。」
「悪いけど、俺と真吾を比べないでくれるか?」
ムッとするでも笑うでもなく、平然とした表情でそう言われたことに、少しばかり堪えた。
「……すみません。」
素直に謝ったのは、さすがに失礼な発言だったと自覚したから。