強がりウサギの不器用な恋
「大丈夫だったか?」
振り向いて、私の顔を覗き込む海藤さんの表情には、さっきの怒りの色はもう消えていた。
「はい。…すみません。
全然、何て言われてるのかわからなくて。」
言葉がわからないなら、最初から英語が堪能な海藤さんに助けを求めればよかったのだと、今になってようやくそれに気づく。
「びっくりしましたよ。急に話しかけられたので……」
「俺のほうがビビったよ。
ちょっと目を離した隙に、ナンパされてるんだから。」
「え?! 今のってナンパだったんですか?」
「そうに決まってんだろ。それ以外に何があるんだ?
ていうか、気づいてないことにびっくりだけどな。」
え…………だって。
日本じゃ、ナンパされたことなんてないんだもの。