強がりウサギの不器用な恋
「一人じゃ寂しいから一緒に飲もうぜ。」
ガチャリとドアを開ければ、男は開口一番そう言って。
私の返事を待つまでもなく、部屋の中に押し入ってくる。
「レストランでも飲んでたじゃないですか。」
「あんなの全然飲み足りねぇよ。」
ほら、と差し出してきたビニール袋の中身を見ると、
冷たく冷やされた缶ビールが何本も入っていた。
(ジュースやお茶もあったけど。)
いつのまに、どこで調達してきたんだか…。
「明日は帰るだけだし、別にいいじゃん。」
「あの……ここで飲むんですか?」
「ん? 俺の部屋のほうがいいか?」
………どっちも嫌です。