強がりウサギの不器用な恋

「金勘定しか出来ないって………逆に俺は尊敬だけど。
経理とかそういう…ややこしい処理は俺には出来ないし、真吾だってそう。」

「…………」

「だから……真吾は君を手元に置いときたいんじゃないの?」

「…違います。」


何が違うんだ? と伺うように顔を覗き込まれても困る。


「私は別に、特別経理が得意というわけでもありません。
最初から社長が不得意すぎたから、自然と私が手伝うようになっただけで……

ですからそれは……逆に言うと私じゃなくてもいいってことです。
経理が出来る人ならば、誰でも私の仕事なんて務まりますから。」



自分でそう言って、自分の胸に矢を突き刺してしまった。

だけど、私の言ったことは事実だ。
他の分野で社長を助けることのできない私は、金勘定しか能の無い女。

……それだって、代わりはいくらでも居る。



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