強がりウサギの不器用な恋
「もっと、自信満々な嫌味な女かと思ってたけど……意外と違うんだな。」
「あの……軽く悪口言われてますよね?」
「あれ? 褒めてたはずなのに。」
少し重苦しくなった空気を、海藤さんのジョークが吹き飛ばす。
社長の友達だと言うだけあって、この人もこうやってガラリと空気を変えてしまうことの出来る人だ。
「そう言えばさ、俺たち海外に行く前に、社員旅行もあるよな?」
「あ。……そうですね。
社長が急に社員旅行なんて言い出すから……」
海藤さんがうちの一員になって、ウキウキと浮かれるように喜んでいた社長。
まるで、恋人でもできたかのように。
歓迎会を開かなきゃ、と言い出したところまでは普通だったが、どうせなら皆で社員旅行にしよう! とわけのわからないことを言い出して。