強がりウサギの不器用な恋
「操、待て。」
夕方、仕事を終えてそそくさと帰ろうとしたところ、事務所の外で海藤さんに見事に腕を掴まれて捕まった。
「お前、何があった?」
「………何も…ないです。」
「嘘つけよ。そんなに泣き腫らした目して。」
「………」
やっぱり。
泣いていたことは、見事にバレていたようだ。
顔を覗き込まれたことが恥ずかしくてさらに俯くが、今更どうにも誤魔化しなんてきかない。
「真吾にも訊いたけど、わかんないって言うし……
やっぱりあれか? ……真吾と赤ん坊の話をして傷ついてたのか?」
そう言われ、大きく溜め息が出た。