強がりウサギの不器用な恋

「俺は3時半にアポ入ってるから、もうそろそろ出かけるけど。」


海藤さんが発言したちょうどその時、私の目はデスクの上の卓上カレンダーを見ていて。

会話の流れが時間の話になったことで、止まっていた私の頭がフル回転で一気に働き始めた。


「え……今、何時ですか?」

「何時って………」


壁に掛けてある時計を見ると、午後2時40分。


「あー!!!」

「何だよ?」

「私、銀行行ってこなきゃ! 3時で窓口が閉まります!!」


見ていた私の卓上カレンダーには、
今日の日付のところに、『銀行』と赤で書き込んである。

忘れないようにと書き込んだのに、すっかりその用事を忘れてしまっていた。

何をしているんだ、私は!
これでは何のために書き込んだか。

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