強がりウサギの不器用な恋

事前に準備してあったクリアファイルを手に取り、慌てて駅前にある銀行に向かった。

時間はギリギリ間に合って、何事もなく済んだけれど。
こんな自分らしくない自分は、大嫌いだ。


銀行を出ると、駅の改札に向かおうとしていた海藤さんとバッタリ出くわした。

そう言えば、さっき出かけるとか言ってたっけ。


「大丈夫だったか?」

「え、えぇ。なんとか。
早く行かないと、電車、行っちゃいますよ?」

「…あぁ。1時間くらいで戻るから。」

「はい。…行ってらっしゃい。」


小走りで改札を抜けていく海藤さんを静かに見送る。


< 230 / 404 >

この作品をシェア

pagetop