強がりウサギの不器用な恋
「…悪かったな。」
バツが悪そうにしょんぼりと、社長が私に謝ってくる。
「やだ…謝らないでくださいよ。
私、もう社長のことは好きじゃないし、全然大丈夫なのに。
社長の家に行ったって、奥様を見たって、何とも思わないです。ましてや辛くなんてありません。」
今言ったことは、正直な気持ちだ。
社長を好きだった感情は、浄化させることができた。
でもそれは、あの人が居たからだ。
―――― 彼を、好きになったから。
「大丈夫です。
全部誤解が招いたことですから、すぐに海藤さんとは元に戻れますよ。」
私が励ますように言うと、社長は笑ってゆっくりと頷いた。