強がりウサギの不器用な恋

自分に勝ち目など……
可能性など一つもないと、思い知らされた瞬間だった。

私の中では、苦い苦い思い出。


「だから、明未さんみたいになれたら、って。」


あの頃は、社長に振り向いて欲しくて。

社長の愛が、少しでも欲しかったから……


「あ、社長を好きだったのは昔の話で、今は好きじゃありませんから。」


もう、そんな感情は完全に風化している。
風化しているからこそ、こうして今、明未さんに笑って話すことが出来るんだ。


「私は、宮田さんはしっかりしている上に、よく気の利く可愛い人だと思ってるけど。」

「可愛いだなんて……似合いません。」

「そうかな? 私以外にもそう思ってる人は居るんじゃない?
例えば……宮田さんの心を射止めた、その男性…とか。」

「………」

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