強がりウサギの不器用な恋
笑いながら西田くんの肩をポンポンっと叩く男を、横目でギロリと睨むけれど。
そんな私のささやかな抗議の目線なんて、この男にはビクともしない。
普通の男の人ならたぶん、私がこうやって睨んだりしたら……
「おお、怖っ!」って少し怯んだりすると思うんだけど。
社長と海藤さんだけは、全くその効き目がない。
あ。こういうところは二人、似ているんだなと発見。
度胸が据わっているというか、何というか……
『物怖じする』とか『怖気づく』という単語が辞書に載ってないタイプの男たちだ。
「あの、先にみなさんで乗ってってください。上の展望台で落ち合いましょ。」
「え……でももう来ますよ?」
たまたま私の一番近くにいた大林くんが、時計を見ながら乗り場を指差した。
乗り場にある運行時間表通りならば、もうすぐロープウェイの出る時間。