強がりウサギの不器用な恋

「私…お手洗いに寄ってから乗るから。」


そう言うと大林くんが察したようで、デリカシーがなくて申し訳ないという表情を浮かべた。


ロープウェイは10分おきに出ている。
別に焦らなくてもいい。一つ後の便で上に登っても何の問題もない。


「みんなで女子トイレの前で待つとか……
ありえないことしないで、ちゃんと先に行っててくださいね!」


全員見渡しながらも、最後は社長のほうに視線を向け、強く念を押す。

コクリと首を縦に振った社長を見て納得し、私は女子トイレへと消えた。


トイレで用を済ませ、出た先にあった自動販売機の前で足を止める。
何か飲み物でも買っておこうか、と。
それならば、みんなの分も買ったほうがいいだろうか…。


「何悩んでんの?」


真後ろで突然声がして。
振り返ると…………そこには、海藤さんが立っていた。


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