強がりウサギの不器用な恋

私を一人ここへ置いていくなんて、この男の中でその選択肢は爪の先ほどもありえないのだと言われているようだった。

そんな確固たる何かを感じる。


こういう時は、少し緩くて穏やかな男のほうがいいなと思ったり…。

社長やこの男のようなタイプは、ある意味頑固で。
こうと決めたら、誰が何と言おうとそれを覆さない強さがある。


強い男は苦手だ。………自分が強くいられなくなるから。

あぁ、だから初めからこの男のことが苦手だったのかと、この時変に合点がいった。


「で、買うの? 買わないの?」


自販機の前で立ち尽くす私に、再度海藤さんが問いかける。



< 33 / 404 >

この作品をシェア

pagetop