強がりウサギの不器用な恋
「お前……ずーっと暗い顔してたし。
仕事だって、似合わないミスばっか連発して。
飛向は飛向で、何かおかしいし。
絶対二人に何かあったとしか思えないだろ?」
何があったのか、それをずっと訊こうと思ってたんだと、社長は意外なことを口にした。
どうやら…まだ社長は何も聞いていないようで。
具体的に海藤さんが社長に自分の結婚話を言ったという線は消えそうだ。
「社長に、お願いがあります。」
引きつる顔に微妙な笑顔を乗せ、私は社長を見据える。
「可愛い後輩の…最初で最後のお願い、聞いてもらえますか?」
社長の眉間にはキュっとシワが寄り、表情に哀しみの色が乗る。