強がりウサギの不器用な恋
「消えるみたいに、いなくなりたいんです。」
「……は?」
「海藤さん……けっこう心配性ですもんね。
女性の相談に乗ったり、慰めたりするのも上手だし。
私のことで変に気をつかって欲しくないので……」
「言ってる意味が、全くわからん。」
「私……もう決めたので。応援してくださいよ。
職場の部下ではなく、……ただの後輩の宮田に戻らせてください、渡辺先輩。」
私が説得するようにそう言うと、社長は不満げにグラスにビールを注いで一気飲みした。
「お前が逃げたって、飛向は追いかける。俺はそう思う。」
「それは絶対ありませんから。」
「何故わかる?」