強がりウサギの不器用な恋
何故って………
綾乃さんの存在があるのに、私を追いかけるわけがないと、今は言えなかった。
何もなくても私のことなんて追いかけないかもしれないし。
それに海藤さんよりも先に、私が綾乃さんのことを社長に言うわけにはいかないから。
どこまで二人の結婚の話は進んでいるんだろうと考えるだけで、心がギシギシと、音を立てるように酷く痛む。
「そのうち、社長もすぐにわかります。」
ほんっとに意味がわからん、と言いながら、飲み終えたグラスをテーブルに乱暴に置いた社長が、酷く不機嫌そう。