強がりウサギの不器用な恋
“俺の話”……それは、綾乃さんのことだろうか。
そんな話なんて、聞きたくはない。
だけど逃げようにも逃げられないこの状況に、夏なのに寒気がしてくる。
「俺………好きな女がいるんだ。」
「いいですよ、今そんな話しなくても。」
「その女、初めて会ったときから気の強そうな感じで……」
私が話を制しようとしても、それは無駄みたいで。
海藤さんはどんどん自分勝手に話をし始めた。
「真面目くさった印象しかなかったけど……
今思えば、最初からタイプだったんだな。」
このまま私は、綾乃さんとの馴れ初めから聞かなければいけないのだろうか。