強がりウサギの不器用な恋
「女はいつも気丈に言うんだ。
私は身体も心も頑丈に出来てる強い女ですって。
だから大丈夫って。
だけど俺は一緒にいる時間が増えるたびに、それは違うと……
ただ単に強がってるだけなんだって、わかった。
――― ハリネズミなんかじゃなかった。
頑張って強がってるだけの、可愛らしいウサギだった。
そう認識したら俺は……その女にどんどん惹かれてって…。」
“強がってる…ウサギ”
海藤さんの話を聞けば聞くほど、自分のことを言われているとしか思えなくなって。
喉の奥が張り付くように乾いていく。
「俺のほうへ、振り向かせたくなった。
心の中に違う男がいるんだから、簡単じゃないのはわかってたけど…。
それでも、その男を忘れて俺を見ればいいと思った。」