強がりウサギの不器用な恋

違う。これは私の話なんかじゃない。

似ているけど……そっくりだけど……
きっと綾乃さんの話をしているんだから。


そう、必死で自分に言い聞かせた。
勘違いしてはいけない、と。



「俺は狡いから……
女が落ち込んでるところへ近づいて、慰めて。
その可愛らしい身体を丸ごと俺の腕の中に閉じ込めたりした。

その女は言うんだ……
自分には女としての色気も魅力もないって。
ふざけんなって話だろ。

惚れてる女にそんなこと言われたら……
マレーシアのホテルの部屋で二人きりのときに、そんなこと言われりゃ、俺の理性なんて簡単に吹き飛ぶ。

俺は強引に、その女を抱いた。」


「違います!
強引にではなく……あれは私も挑発しました。
……私が…誘ったんだと思います。」

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