強がりウサギの不器用な恋

もし、綾乃さんが妊娠していなければ、私は彼の胸に飛び込んだかもしれない。

彼が綾乃さんではなく私を選んでくれるというのなら。


だけど、ダメ。
彼はこれから綾乃さんと結婚し、家庭を作る人。


私があなたを好きな気持ちを、ここで今更何もかもブチまけてどうするっていうんだ。

それは許されない。



彼に、少しでも好いてもらえていた。

……その事実だけで十分だ。


ただそれだけで、十分幸せ。

< 377 / 404 >

この作品をシェア

pagetop