強がりウサギの不器用な恋
もし、綾乃さんが妊娠していなければ、私は彼の胸に飛び込んだかもしれない。
彼が綾乃さんではなく私を選んでくれるというのなら。
だけど、ダメ。
彼はこれから綾乃さんと結婚し、家庭を作る人。
私があなたを好きな気持ちを、ここで今更何もかもブチまけてどうするっていうんだ。
それは許されない。
彼に、少しでも好いてもらえていた。
……その事実だけで十分だ。
ただそれだけで、十分幸せ。