強がりウサギの不器用な恋

社長にはなかなか理解してもらえないんだろう。
綾乃さんの妊娠の事実を知らない社長には、私の行動が不可解に思えて仕方が無いんだ。


「社長のように、誰もが正面突破できるとは限らないんですよ。」

「は? また意味のわからんことを…。」


もしかしたら社長は、昨夜や今朝も私の知らないところで海藤さんと私の話をしていて。

こうして説教するために、今朝は早く来て待ち構えていたのかもしれない。

一度首を突っ込んだら、放ってはおけない性分の人だから。



「真吾がそこまで怒ることないだろ。
……ありがとな。あとは俺がやる。
大丈夫。とことん追いかけて、逃がしはしないから。」


ニヤっと笑って海藤さんがそう言うと、フンっと鼻を鳴らす社長。

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