強がりウサギの不器用な恋
頭の上から、彼の低い声が降って来る。
私は両腕を突っぱねるようにして、ギュッと強く抱きしめてくる彼と少しばかり身体を離せば……
切なく歪んだ彼の瞳と視線がぶつかる。
「そ、そんなこと言っちゃダメですよ。
私……奥さんや赤ちゃんと仲良く幸せな家庭を築く人と、不倫はさすがに出来ませんから……」
「……は? 何の話だよ。」
彼が私の瞳を射抜きながら、よくわからない、という表情をした。
「愛する嫁さんと子供がいて、幸せデレデレなのは真吾だ。
……俺じゃねぇーだろ?」
「え?……でも……結婚、しないんですか?」
「結婚? …俺がか?」