強がりウサギの不器用な恋
“結婚”というキーワードを思い切って出してみると、目の前の彼が驚きを隠せないようで、ポカンと口を開けていた。
見事に鳩が豆鉄砲を食らっている。
「話が……よくわからないんだが……
もしかして、俺に女がいて、そいつと結婚するとでも思ってんのか?」
「………はい。」
「はぁ? 操、お前それマジで言ってんの?
結婚する女が他にいるのに、今ここで操を口説いてるって?」
「はい。だから冗談ですよね?…と。」
私の肩や背中に触れていた彼の手が、だらりと力なくそのまま下へ降ろされて。
思い切り呆れた表情になった彼が、自分の黒髪をかき混ぜる。