強がりウサギの不器用な恋

彼は私から身体を離し、ゴソゴソと鞄から何かを探して……


「…これ。」


小さな正方形の箱を、私の掌の上に置いた。


「何ですか? これ。」

「何って………贈り物?」


開けてみろと促され、その小さな箱の包装を解いて中を開けると、可愛らしいピンクの石のついたプラチナリングが入っていて。

驚いて、思わず彼のほうへ視線を上げる。



「それ、昨日渡そうと思って慌てて買ったけど、渡すタイミングが……」

「昨日?」

「ずぶ濡れの男が来て、いきなり買っていくから店の人が驚いてたな。」

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