強がりウサギの不器用な恋

サイズがわからないのにリングを買うなんて。

店員さんに、何て言って買ったのだろうと想像すると少し可笑しい。
……全身ずぶ濡れの男が。


「大丈夫ですよ。サイズは直せますから。
可愛いリング、ありがとうございます。」


……嬉しくて。

彼が私を想ってこれを買ったのだと思うと、堪らなく嬉しくて。


左手を掲げてそれを見つめれば、ニヤニヤと笑みが止まらない。

胸がキュンとして、焼け焦げてしまいそうに幸せだ。



「言っとくけど、プロポーズじゃないからな?」

「わ、わかってます!
そんなに自惚れるほど……おめでたくありません。」

「プロポーズのときは、もっと上等なもん買うから。」

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