強がりウサギの不器用な恋
この時、奇跡的に泣かなかった。
頑張って耐えたのが、逆にいけなかったのかもしれない。
“明日には綺麗さっぱり忘れる”なんて、大嘘になってしまった。
だけど、これが原因で会社を辞めたくはなかった。
大学時代から築き上げた、私とこの人との縁や絆みたいなものは何だったのか、と思いたくはなかったんだ。
そこに恋愛以上のもっと貴重な何かがあると、勝手に思いたかっただけなのかもしれないが。
そしてこの2ヶ月後、社長が彼女と結婚すると言い出して。
あっと言う間に籍を入れ、親族だけで簡単に式まで済ませてしまった。
性急過ぎるその行動に、周りが呆気に取られたのは言うまでもない。