強がりウサギの不器用な恋

「ずっと傍にいたら、諦められないか?」


社長とのやりとりを思い返してトリップしていた世界から、海藤さんの声で呼び戻される。


「いえ。諦める努力はしていますから。…大丈夫です。じきに諦めます。」

「そうか。……さすがにそうだよな。」

「…はい。」

「嫁さん、妊娠中だって聞いたし。」

「ええ。再来月に産まれるらしいですよ。」


性急過ぎるその行動の意味がわかったのは、電撃結婚から1ヶ月後のことだった。


……奥さんが、妊娠していると。


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