強がりウサギの不器用な恋
だからバタバタと結婚を急いだわけだ。
要するに、デキ婚とか授かり婚とかっていう類で。
付き合って間もない恋人が妊娠してしまって、半ば仕方なく結婚だなんて……と、そんなことを思ったりもしたが。
社長は愛する女性と、その女性と自分との子供をいっぺんに手に入れて、しばらくは有頂天で舞い上がっていた。
そこで私も少しは冷めたというか。
愛した男が、極上の幸せを手に入れたのだから、祝福してあげなきゃと素直に思うことができた。
きっと彼女も、幸せいっぱいなのだろう。
悔しいけど、これ以上なく完敗だ。
「よしよし。」
突然隣から逞しい腕が伸びてきて、ゴツゴツした手が私の頭を撫でた。