ワタシ的、悪戯と代償
PM 5:47


飛行機はどうして飛ぶことができるの?

きっと誰もが一度は思ったことがあるであろう、この疑問。

大きく重たい、言葉の通り"鉄の塊"であるその物体が、何故あの大きな空を自由に飛び回ることが出来るのか。

あぁ、いくら考えても不思議でしょうがない。



「あの翼はね、ただの翼じゃないんだ。」

「と言いますと?」

「翼を真横から見てみるとね、こうなっているんだよ。」

先生は一度そこで話を切ると、手元にあったボールペンを手に取る。そして何かの紙の切れ端を掴むと、そこに滑るようにペンを走らせた。

「こんな形だね。」

私があげた、夢の国と称されるテーマパークのお土産であるそのボールペンを、先生は律儀に使ってくれている。

悪戯半分であげたそのボールペンの先には、そこの人気キャラクターである黄色い熊が呑気に首を振りながら座っている。

涙を横にしたような形が、紙に書かれている。平たく、下辺は直線だが、上辺はゆるやかなカーブを描いていた。

潰したかまぼこのようだ。

先生はこの図を何度もなぞるようにボールペンを滑らせる。

「下は真っ直ぐだ。それに比べて、上はゆるやかにカーブしているね。」

「はい。」

「ここがポイントなんだ。」

< 1 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop