ワタシ的、悪戯と代償
「これがベルヌーイの定理と言うのだけど、飛行機が飛ぶ理由として断定されているわけではないからね。ただの一説だ。」
「へぇ、でもすごいです先生、やっぱり不思議だわ。あんなに重たいものが飛べるなんて。」
やっぱり何度考えてみてもすごい。
科学の力は日々進歩しているというけれど、それが私たちの生活に深く関わっているという実感はそれほどない。
科学はいつのまにか私たちの日常に溶け込み、それが当たり前となるからだ。
電気が点くことも、電話が繋がることまも、テレビを見ることができるのも、そして飛行機が飛ぶことも。
……あぁ、でも飛行機と科学は関係がないのかもしれない。わからないけど。
とにかく世の中は、不思議で溢れているのだ。
「僕はそれよりも、何故君がここにいるのかということの方が不思議だけどね。」
手にしていたボールペンは、いつのまにか机の上に転がっていた。相変わらずそのボールペンに座っているそれは、呑気な顔をしている。
「迷惑でした?」
「そんなことはないよ。ただ普通、君くらいの年頃だと、もっと他に楽しいことが山ほどあるだろう?」
「例えば?」