ワタシ的、悪戯と代償
準備室、というには少し首を捻りたくなるこの部屋に先生は籠っていることが多い。
それを知ってからというもの、私は度々ここを訪れてはこうして先生との時間を過ごすのだ。
「楽しいところ悪いけど、僕はこれから会議なんだ。」
「えっ?またですか?」
「この時期は多くなるんだよ。」
開いていたノートパソコンを閉じながら言う。
……なぁんだ、今日は十分ちょっとしか居られなかった。
まだ夕方だ。外は暗かなりかけてはいるものの、これからもっと先生と楽しい時間を過ごせると思ったのに、と口を尖らせる。
先生に目をやると、まだマグカップの中にコーヒーが残っていたのか、それに口を着けていた。
最後まで飲み干すため、カップを傾ける。そうすると、綺麗な首筋が露になった。
先生を一言で表すと、"草食系"だ。どう見ても筋骨隆々なタイプには見えないし、本人も自覚していると言う。
ただその首筋は、喉仏がくっきりと現れていて、やっぱり男の人だと思い知らされる。
「……せーんせ。」
「何。」
私が言葉を伸ばす時、それは何かお願い事をしたい時だ、と先生が言っていたことを思い出す。
いつもより少しだけぶっきらぼうに答える先生の隣にもう一つの椅子を寄せて、ついでに体も寄せる。