†ヴァンパイアの恋情†

†2†


「…春島?」

「あ…」

 何故このタイミングであなたが出てくるのよ、皇。

「雪女?」

「ウソ、いたの?」

 ここに、居たくない。
 方向転換して、図書館に向かって歩き出した。

「待てよ春島!」

 今は、1人になりたいの。
 廊下を思いっきり走った。

「おい!」

 階段を駆け上がる。長い廊下を走る。
 図書館の扉を思いっきり開けて思いっきり閉める。

 久しぶりに息が切れたわね。
 落ち着かなくては。

「春島!」

 ドアをたたく音が1つ。

「来ないでよ!」

「話を聞いてくれ」

「なんで追いかけるの」

 扉一つ越しの会話。
 本当…ヒステリックね。

「ほっとけないだろ」

 ほっとけない…?
 何を?なんで?どうして…

「春島」

 やめて、今私を呼ばないで。

「お願い。1人にして」

「春…」

「お願い」

 1人にして。

「…分かった」

 足音が遠ざかっていく。

 扉にもたれかかるようにして、

 私は、その場に崩れた。








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