天才少女の復讐法。
「……っ…」
……嫌な記憶を思い出した。
「…瀬織…?」
黒瀬の言葉で、あたしは我に返る。
「…あんたに想像できる?」
気付けばあたしは、
そんなことを言っていた。
「家に入ったらさ、
床が血まみれなんだよ。
さっきまで一緒だったお姉ちゃんは
変わり果てた姿で倒れてた。
もう…息はしていなかった。」
「……っ」
「お母さんは、喋ることさえ辛いのに…
…痛くて、苦しいはずなのに
『お父さんから逃げて』って
途切れ途切れになりながらも
あたしが同じ目に合わないように
必死で助けようとしてくれた。
それなのに……あたしは……。」
あたしはあの時、何もできなかった…。