天才少女の復讐法。


「あんたに分かんのかよっ…。
…っ…俺がどんな想いで
あいつの手を離したのか…! 
っあんたに分かんのかよっ…!」


……男の言葉を聞いて
俺は、掴んでいた手を離した。


「…悪い。…っ悪かった…」


こんなの……ただの八つ当たりだって
本当は分かってるんだ…。


この男が、瀬織を簡単に
見放すわけがない。


だって……きっとこの男は、
誰よりも瀬織のことを理解していて
誰よりも瀬織のことを大切にしている。


初めて会って、初めて話したあの日から
……そんな気がしてた。

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