天才少女の復讐法。


奴の目の前で止まった包丁。


一瞬の迷いがどれだけ危険か
あたしは十分、分かってた。


あと1歩踏み出せば、奴を殺せる__


でも、大切なことに気付いてしまったから…


「今だっ…!」


「………」


__奴に刺されるって、きっと分かってた。


分かってたのに
あえて避けなかった理由はさ……


……今までの罪を、償いたかったから__


自分の正義のために、
香澄さんとか……無関係な人まで傷付けた
あたしの過ち。


最後はあたしも、
死んで罪を償うつもりだった。


順番が……ちょっと入れ替わっただけ。


だから……


__グサッ……


「ッ……いっ……」


あたしの身体に、激痛が走った。


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