天才少女の復讐法。


「…ちげぇよ……」


涙声で……黒瀬はそんなことを言う。


「っ……本当の幸せって…
こんなもんじゃねぇんだよっ…!
だから頼むッ……。死ぬな瀬織ッ…!
っ…頼むから……」


あたしの名前を
何度も何度も呼ぶ声が、聞こえてたけど……


あたしの身体は…
もうすでに…限界が来ていた。


……でも、ずっと言いたかったこと
やっと言えた。


……ねぇ、黒瀬。


……あたしに、
優しさを教えてくれてありがとう……。


……別れがこんなに辛いなら…
あんたに会いたくなかったけれど……


だけどやっぱり…会えて良かった…。


そんな想いを、全部まとめて……


あたしは最後の力を振り絞って……


「……ありがとう」


って、あたしは黒瀬にそう言った。


最期らへんのあたしは
きっと意識が朦朧としていたけれど……


ありがとう


その言葉は……きっと伝わったよね…


きっと黒瀬に、届いたよね__

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