天才少女の復讐法。
「あそこで何してたんだ?」
「父に電話してたの。
わたしのお父さん、スマホ持ってないんだよね。
今時そんな人いないよね。」
と、俺の目をまっすぐ見て
クスッと笑う瀬織。
………この目は、嘘をついていない。
それに…もし、やましいことならば
こんなに堂々としていられるはずがない。
「そっか!偶然、瀬織を見かけてさ。
てか瀬織の父さん、あそこで働いてんだ!」
「そうなの!」
と、いつものように微笑む瀬織。
……俺は、何をそんなに悩んでたんだろう。
瀬織の嘘のない真っ直ぐな表情や態度に
俺の中にあったモヤモヤは
少しずつ消えていく気がした。